■ 繊維筋痛症とは?
繊維筋痛症(Fibromyalgia)は、全身の慢性的な痛み、こわばり、倦怠感、睡眠障害、そして集中力低下などを特徴とする疾患です。日本国内では推定200万人以上が罹患しているといわれていますが、血液検査や画像診断で明確な異常が見つからないため、長年「原因不明の痛み」とされてきました。
その本質は、脳と神経系の“痛みの信号処理”の異常にあり、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、睡眠の質の低下、栄養不足、炎症反応の慢性化など、複数の要因が重なって発症します。
■ カンナビノイドの注目される作用
カンナビノイド(CBD、CBG、CBNなど)は、身体の**エンド・カンナビノイド・システム(ECS)**に働きかけ、神経伝達・免疫反応・炎症制御などのバランスを整える働きを持っています。
特にCBD(カンナビジオール)は以下の点で繊維筋痛症に有望と考えられています。
- 痛みの信号伝達を調整:CBDは神経細胞の過剰な興奮を抑え、脳内のセロトニン受容体(5-HT1A)に作用して痛覚を緩和します。
- 慢性炎症の抑制:サイトカイン(炎症性物質)の過剰分泌を抑えることで、全身性炎症を軽減。
- 睡眠の質の改善:CBNやCBDは深いノンレム睡眠を促し、「朝起きても疲れが取れない」という典型的な症状を改善する可能性があります。
- ストレス・自律神経の安定:ECSはストレス応答にも関わるため、CBD摂取により交感神経優位の状態を和らげ、心身を整える効果が期待されます。
■ 栄養医学との相乗効果
繊維筋痛症の背景には、栄養不足や代謝のアンバランスも関与しています。
Greeus®の「Longevity 7 Scores」では、血液検査15項目から炎症スコアや代謝スコア、鉄貧血スコアなどを可視化し、分子栄養学に基づいた改善指針を提示します。
とくにフェリチン(貯蔵鉄)・ビタミンD・マグネシウム・亜鉛・B群の不足は、痛みの増幅やエネルギー代謝の低下と関係することがわかっています。
このような分子レベルの分析と、CBDによる神経・免疫調整を組み合わせることで、**「痛みの根本にアプローチする新しいウェルネス医療」**が可能になります。
■ 海外の臨床研究
近年、カナダやイスラエルの臨床データでは、CBDやTHCを用いたカンナビノイド療法が疼痛・睡眠・生活の質(QOL)を改善する報告が増えています。
また、THCを含まないCBD単剤でも、患者の約60〜70%が「痛みの軽減」または「睡眠改善」を実感したという結果もあります。
■ まとめ
繊維筋痛症は、薬だけではコントロールしにくい複合的な疾患です。
カンナビノイドは、神経系・免疫系・ホルモン系を横断的に整える“自己調律(Self-Regulation)”をサポートし、栄養医学と組み合わせることで、これまでにない再現性の高い改善プランを提案できる時代が近づいています。