監修:谷口容子 医師
日本ウェルビーイング医学協会 常任理事/日本抗加齢医学会 専門医/国際アンチエイジング医学会スピーカー
■ 序章|病気の手前にある「未病」を診る時代へ
血液データが“正常”でも、疲労・冷え・むくみ・不安感・集中力の低下といった不調を訴える人が増えています。
これらは臓器レベルではなく、分子レベルで起きている代謝の歪みによって引き起こされるもの。
谷口医師は言います。
「病気になってから治すのではなく、“未病”の段階で整える。
そのための医学が、分子栄養学とウェルビーイング医学の融合です。」
■ 第一章|分子栄養学 ― 細胞レベルで身体を再構築する科学
1. 分子栄養学の定義
分子栄養学(Orthomolecular Nutrition)は、
ノーベル賞受賞者ライナス・ポーリング博士の提唱によって確立された学問です。
その目的は「最適な分子環境(orthomolecular environment)」を整えること。
つまり、身体のすべての細胞が最もよく機能する栄養状態を作ることにあります。
谷口医師はこの考え方を、現代的な形でこう翻訳します。
「細胞にとっての“最適な分子”とは、私たちにとっての“生きるエネルギー”そのもの。
栄養は単なる栄養素ではなく、情報でありエネルギーです。」
2. 科学的根拠:分子レベルの健康バイオマーカー
分子栄養学では、血液データを生命活動のリアルタイム指標として捉えます。
以下の15項目は、
細胞の“栄養状態”と“代謝の流れ”を見極めるための重要なマーカーです。
| 系統 | 主な指標 | 意味 |
|---|---|---|
| 鉄代謝 | フェリチン | 酸素供給・ミトコンドリア代謝・神経伝達 |
| 脂質代謝 | TG・HDL・LDL・総コレステロール | 細胞膜流動性・ホルモン前駆体 |
| 肝機能 | AST・ALT・γ-GTP | 炎症・デトックス能力 |
| 腎機能 | クレアチニン・BUN | 老廃物除去・アミノ酸代謝 |
| 糖代謝 | GLU・HbA1c | エネルギー供給・インスリン抵抗性 |
| 酸化ストレス | 尿酸(UA) | 抗酸化能力の一部指標 |
| タンパク合成 | 総タンパク・アルブミン | 栄養吸収・再生力・免疫活性 |
これらを総合的にスコア化するのが、Greeus® Longevity 7 Scores。
単一の数値ではなく、“バランス”と“相関”を重視する点が特徴です。
■ 第二章|ウェルビーイング医学 ― 自然治癒力の科学的再定義
1. 自然治癒力とは何か
従来、自然治癒力は“スピリチュアルな概念”として誤解されがちでした。
しかし近年、エピジェネティクスや神経免疫学の進歩によって、
その正体が明らかになりつつあります。
- エピジェネティクス(遺伝子発現調節)
→ 食事・睡眠・運動・心理状態が遺伝子スイッチのON/OFFを変える - 神経免疫学
→ 自律神経と免疫の双方向性が、炎症・再生・メンタルに影響 - ミトコンドリア生理学
→ 呼吸・栄養・光・温度がエネルギー産生を左右
これらの最新知見が示すのは、
**自然治癒力とは「身体が自己を最適化しようとするアルゴリズム」**であるということ。
谷口医師は言います。
「心身の状態は環境に応じて常にチューニングされています。
ウェルビーイング医学は、その“自己調律”を支援する学問です。」
2. 科学的裏付け ― 精神と代謝の共鳴
慢性炎症と抑うつの関連、腸内環境と免疫の相互作用、
副交感神経と抗炎症反応(“cholinergic anti-inflammatory pathway”)など、
精神と代謝の関係は今や確固たる科学的領域です。
これらの研究は、「感情」「思考」「呼吸」すら
生化学的プロセスに影響を与えることを示しています。
すなわち、**ウェルビーイングとはメンタルヘルスの延長ではなく、
生理学的な健康の“根幹”**なのです。
■ 第三章|分子栄養学 × ウェルビーイング医学 = “自己調律医療”
分子栄養学が「細胞環境の最適化」であるなら、
ウェルビーイング医学は「環境変化への適応力の最適化」。
この二つを組み合わせた医療モデルが、谷口医師の提唱する
**“自己調律型医療(Self-Tuning Medicine)”**です。
そのプロセスは以下の三段階で構成されます。
- 可視化(Awareness)
血液検査で現状を数値化し、身体の声を“データ”として聴く - 介入(Action)
栄養・運動・睡眠・マインドフルネスを個別設計 - 統合(Alignment)
自律神経・ホルモン・代謝・心理を「一つの調律」として統合
■ 第四章|Longevity 7 Scoresが導く“量的健康”から“質的健康”へ
Greeus® Longevity 7 Scoresは、
単なる血液検査ではなく「身体と心の統合地図」です。
これまでの医療が「異常を探す」ことに重点を置いてきたのに対し、
このスコアは「ポテンシャルを引き出す」ために存在します。
たとえば、
- 鉄貧血スコアの改善で思考力と集中力が向上
- 栄養スコアの最適化でホルモン分泌リズムが安定
- 炎症スコアの低下で睡眠の質と免疫が同時に向上
これらは単なる理論ではなく、
分子生理学と臨床栄養学が裏づける再現性のあるプロセスです。
■ 結章|医療の未来は「育てる」時代へ
谷口医師はこう締めくくります。
「医療は“治す”時代から、“育てる”時代へ。
科学は自然治癒力を補完するものであり、
その両者が調和したとき、人は真に健康になります。」
Greeus®はこの理念のもと、
分子栄養学の科学的エビデンスと、
ウェルビーイング思想の哲学を結びつけ、
“自らの力で整う”社会の実現を目指しています。
✦ 結語
分子栄養学は、生命の言語を科学で翻訳する学問。
ウェルビーイング医学は、その翻訳を生き方に変える哲学。
そしてその交点に、
“心と身体が響き合う医療”――
Greeus® Longevity 7 Scoresがあります。