心身機能学とは?
― 機能性医学を“セルフケア”に落とし込むための新しい学問 ―
「検査では異常なし。でも、調子は悪い。」
この違和感を、きちんと説明できる学問は、これまでほとんど存在しませんでした。
心身機能学とは、
機能性医学(Functional Medicine)の考え方をベースに、
心と体の“働き(機能)”を、日常のセルフケアに使える形へ翻訳した実践知です。
病気を診断する学問でも、
精神論で頑張らせる学問でもありません。
「今の状態で、なぜ力が出ないのか」
「何を整えれば、自然に戻るのか」
それを構造的に理解し、再現可能な行動に落とすための学問です。
なぜ「心身」なのか?
私たちの不調は、
心か体か、どちらか一方だけで起きていることはほとんどありません。
- 栄養不足 → 集中力低下 → 判断ミス → ストレス増大
- 睡眠不足 → 自律神経の乱れ → 炎症 → 気分の落ち込み
- メンタルの疲労 → 食行動の乱れ → 血液データの悪化
心と体は、常に機能として連動しています。
心身機能学では、
「メンタル」「栄養」「代謝」「炎症」「睡眠」「自律神経」などを
分断せず、“ひとつのシステム”として扱うのが特徴です。
機能性医学との違いは?
機能性医学は本来、とても優れた考え方です。
- 症状ではなく原因を見る
- 臓器ではなくシステムを見る
- 数値の“正常/異常”ではなく“最適”を見る
ただし、実際には
専門家向けで難しく、一般の人が日常で使うにはハードルが高いという問題があります。
心身機能学は、そこを一段階“翻訳”します。
| 機能性医学 | 心身機能学 |
|---|---|
| 医師・専門家向け | 一般のセルフケア向け |
| 専門用語が多い | 日常言語で理解できる |
| 治療設計が中心 | 状態理解と行動設計が中心 |
| 個別診療 | 自己調整力の獲得 |
つまり心身機能学は、
「治してもらう医学」から「自分で整えられる知」への変換装置です。
心身機能学が扱うのは「能力」ではなく「状態」
とても重要な前提があります。
出力が落ちたとき、
問題は「能力」ではなく「状態」にあることがほとんど。
心身機能学では、
やる気・根性・才能といった曖昧な言葉は使いません。
代わりに見るのは、
- 体内エネルギーは足りているか
- 回復が追いついているか
- 判断を支える生理的余裕はあるか
- ストレスに対する耐性は落ちていないか
つまり、「今、この人は出力できる状態か?」
その一点です。
セルフケアに落とし込むための3つの柱
心身機能学は、必ず次の3点をセットで扱います。
① データ(客観)
血液データ・睡眠・体調・行動ログなど、
感覚だけに頼らない“現在地”の把握。
② 解釈(構造)
数値を善悪で判断せず、
「なぜ今この状態なのか」を機能構造で理解する。
③ 行動(現実)
完璧を目指さず、
今の生活で“実行できる最小単位”に落とす。
この3つが揃って、はじめてセルフケアは続きます。
心身機能学が目指すゴール
心身機能学のゴールは、
「一生正解を教えてもらうこと」ではありません。
- 自分の状態を読める
- 崩れた理由がわかる
- 立て直し方がわかる
この**自己調整力(セルフ・レギュレーション)**を育てること。
不調にならない人をつくるのではなく、
不調から戻れる人を増やす。
それが、心身機能学の目指す世界です。
まとめ
心身機能学とは、
機能性医学を、
「誰でも・日常で・自分のために使える形」にした学問
です。
病院と自己流のあいだにある、
これまで空白だった領域。
「なんとなく不調」を、
「理解できる状態」に変えるための知性。
それが、心身機能学です。