分子栄養学とは?
―「何を食べるか」ではなく「体でどう使われているか」を見る栄養学 ―
分子栄養学(Orthomolecular Nutrition)とは、
栄養素を“分子レベルの材料”として捉え、体内での働き方から健康や不調を理解する学問です。
カロリーやバランスだけを見る従来の栄養学とは違い、
- 食べた栄養が
- 吸収され
- 運ばれ
- 使われ
- 回復に回っているか
という体内プロセスに焦点を当てます。
つまり分子栄養学は、
「食事」ではなく**「体の内側の代謝システム」を見る栄養学**です。
なぜ“ちゃんと食べているのに不調”が起きるのか?
分子栄養学が必要とされる理由は、とてもシンプルです。
同じものを食べても、
同じように体で使われているとは限らない。
例えば――
- タンパク質を食べているのに筋肉がつかない
- 鉄を摂っているのに疲れが取れない
- ビタミンを摂っているのに集中力が戻らない
これは「摂取量」の問題ではなく、
- 消化できていない
- 吸収できていない
- 運搬できていない
- 需要に追いついていない
“使われていない”状態が起きているからです。
分子栄養学は、この「途中で止まっているポイント」を特定します。
分子栄養学の基本的な考え方
① 体は“化学反応の集合体”である
私たちの体は、
- 酵素
- ホルモン
- 神経伝達物質
- 免疫反応
すべてが分子同士の反応で動いています。
栄養素は単なるエネルギー源ではなく、
**反応を成立させる“材料”や“触媒”**です。
足りなければ、反応は起きません。
ズレれば、反応は歪みます。
② 不調は「欠乏」か「過剰」か「使えなさ」で起きる
分子栄養学では、不調の原因を次のように整理します。
- 絶対的に足りていない(欠乏)
- 需要に対して足りていない(相対的不足)
- 炎症やストレスで消費されすぎている
- 吸収・代謝・運搬に問題がある
つまり、
「食べているか」ではなく
「足りているか」「回っているか」
ここを見るのが分子栄養学です。
③ “正常値”ではなく“機能する値”を見る
健康診断の基準値は、
「病気かどうか」を判断するためのものです。
分子栄養学では、そこから一歩踏み込みます。
- この数値で
- この人の体は
- ちゃんと機能しているか?
“異常ではない”と“足りている”は別
という前提に立ちます。
分子栄養学が扱う代表的なテーマ
分子栄養学では、以下のような領域を横断的に扱います。
- タンパク質代謝(材料が足りているか)
- 鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラル
- ビタミンB群・Dなどの補酵素
- 炎症と酸化ストレス
- 血糖・脂質・エネルギー代謝
- 腸内環境と吸収能力
これらはすべて、
**「体を動かすための基礎インフラ」**です。
分子栄養学は「サプリ学」ではない
よくある誤解があります。
分子栄養学=サプリメントの話
これは半分正解で、半分間違いです。
分子栄養学の本質は、
- 何が足りていないか
- なぜ足りていないか
- 食事でいけるのか
- 補助が必要なのか
を順序立てて判断する思考法です。
サプリは“手段”であって、目的ではありません。
分子栄養学がくれる最大の価値
分子栄養学の最大の価値は、これです。
「なんとなく不調」に
説明がつくようになること
- なぜ疲れやすいのか
- なぜ回復が遅いのか
- なぜ集中が続かないのか
それを
体質や性格のせいにせず、構造として理解できる。
これは、セルフケアの出発点になります。